千の耳を持つように~小説家・古川日出男さん清華大学での講演会から

2018-09-18 19:01  CRI

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 この9月10日~17日、日本から初訪中した小説家で、劇作家の古川日出男さんのお話をお届けします。

 昨冬、早稲田大学で「東アジアの文学・文化研究の国際化とナショナリズムの陥穽」)をテーマにしたシンポジウムが開かれ、パネリストとして参加した古川さんは同じ会議に出席した中国の文学者や学者と交流ができたことが、今回の北京訪問に結びました。

 1週間の北京滞在では、古川さんは一般の観光だけではなく、中国現代文学館の訪問と交流、清華大学や北京外国語大学での講演会にも招かれ出席しました。

 この二つの講演会では、古川さんは作品を例に、自らの創作理念や文体の作り方、現代社会における文学の在り方、さらに「アジア文学」という新しいカテゴリー誕生の可能性などをめぐり、中国の文学者や学者、学生たちと語り合っていました。時には、変化にとんだ朗読パフォーマンスも織り交ぜ、その都度、会場から暖かい拍手が沸き起こりました。

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 今週の番組はその中から、9月13日午後、「千の耳を持つように――ヒップホップ文学という実験」と題した清華大学文学創作&研究センターの主催による講演会の様子をピックアップしてご紹介します。当日の講演会には清華大学文学創作・研究センターの主任教授で、茅盾文学賞受賞作家でもある格非さん、清華大学人文学院の王中忱教授、青年SF作家の賈立元副教授なども参加。古川さんは講演の中で、最新作で、今年2月に新潮社から刊行された『ミライミライ』を例に、自分の最新の文学創作活動を紹介し、来場者からの質問に答えました。

 ヒップホップ文学の由来について、「文学が行き詰まりに入っている。いろんな力を借りたい。『ミライミライ』を書くときは、ヒップホップという音楽の力を借りてみようと思ったのです」と話しています。そして、「僕からすれば、ヒップホップのボーカル、ラッパーはマイク一本で戦うように見える。対して、作家である僕は、言葉という武器しかなく、筆一本で世の中と格闘している。そのために共感をしている」と胸中の思いを単純明快に明かしてくれました。さらに、「人間の両耳に入ってくる音は完全に同じではない。それでも、私たちはいつだって、二つの声が同時に聞こえているわけです。小説、詩などの文学の役割というものは、人間は二つの耳しか持てないけれども、詩人や小説の中の登場人物たちの持っている耳をどんどん足すことによって、文学作品を読むことで、たた一人の読者が千もの耳を持てるようになれることだと思っています」と訴えていました。

 今回は絶えず境界を超えるよう、文学の新しい可能性を模索し続けている実力派作家の話です。

 【プロフィール】

 古川日出男(ふるかわ ひでお)さん

 小説家、劇作家

 1966年福島県郡山市生れ。1998年に『13』で小説家デビュー。2001年、『アラビアの夜の種族』で日本推理作家協会賞、日本SF大賞をダブル受賞。2006年『LOVE』で三島由紀夫賞を受賞する。2008年にはメガノベル『聖家族』を刊行。2015年『女たち三百人の裏切りの書』で野間文芸新人賞、2016年には読売文学賞を受賞した。文学の音声化にも取り組み、朗読劇「銀河鉄道の夜」で脚本・演出を務める。2018年、長編小説『ミライミライ』を刊行。著作はアメリカ、フランスなど各国で翻訳され、現代日本を担う書き手として、世界が熱い視線を注いでいる。他の作品に『ベルカ、吠えないのか?』『馬たちよ、それでも光は無垢で』『MUSIC』『ドッグマザー』『南無ロックンロール二十一部経』など。

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